圧力バランスの制約から開放された、新次元のダンパー。二輪車用製品 Balance Free Rear Cushion

技術の特長

新機構の二輪車用ショックアブソーバ「Balance Free Rear Cushion」
 

 新機構の二輪車用ショックアブソーバ「Balance Free Rear Cushion」を開発し、上市しました。当製品は、既存ダンパーの弱点である圧力バランスの変動が発生しない油圧回路を採用し、押し側と引き側の減衰力発生機構をシリンダー外側に集約したことで、スムーズかつ最適なオイルフローが可能となり、減衰力応答性の向上による優れたトラクションと吸収性を実現しました。また、動き初めの制御性により、低速時の乗り心地と高速時の安定性という相反する特性をこれまでより高い次元で両立できるようになりました。


 減衰力アジャスターを集約し、操作性の向上を図るとともに、ショーワ独自のデザインを採用したことで外観のイメージを刷新しました。

  減衰力アジャスターを集約

油圧回路

小流量で圧力差を発生する部分を廃止して、圧力バランスの変動が発生しない油圧回路を採用し、応答性と制御性の性能向上を実現。

油圧回路

開発ヒストリー

Big Piston Front Forkに追いついてみせる…
そんな思いからBalance Free Rear Cushionの開発が始まった

 Balance Free Rear Cushionを採用したきっかけは、Big Piston Front Forkが市場で高評価を得ていたのに対して、リヤクッションは追従することができていなかった。そこで、リヤクッションもBig Piston Front Fork同様にさらに性能を向上させようと取り組んだのが始まりだった。既存のリヤクッションは、路面の状況がつかみにくく、必要なときに制御が甘く、不必要なときに硬く感じることがあった。この製品は、その弱点を克服した構造を実現し、上市することができた。

  Big Piston Front Forkに追いついてみせる…そんな思いからBalance Free Rear Cushionの開発が始まった

‘ついで’にテストしていなかったら、今上市することはなかった

‘ついで’にテストしていなかったら、今上市することはなかった
 

 Balance Free Rear Cushionが大きな一歩を踏み出したきっかけは意外な事がきっかけだった。客先とBig Piston Front Forkのテストをしようとしたところに、まだ試作の段階だった製品を持っていき、Big Piston Front Forkに便乗してテストをしてもらった。初めは、バイクに装着しようとしたところ、製品が大きすぎて装着することができなかった。調べてみると本来とは違うばねを着けていたけど、どうしても諦めきれず何とか装着して無事テストをすることができた。走行後、担当のライダーから「これはいい!」と好評価をもらうことができ、採用を前提に話が進むことになった。まさかの急展開に驚いたけど、このとき思い切って製品を持ち込んでテストしていなかったら、今上市することはできなかったと思う。


 その後、社内では実用化に向け性能の特性や耐久性のテストを繰り返していたが、リーマンショックの影響による不景気で、客先とサーキットでテストをする回数が激減した。サスペンション単体でのテストはできても、車体に装着した状態でテストができず、十分にデータをとることができなかった。そこで、Balance Free Rear Cushionをテストするために会社でバイクを買うことにした。今まで確認できなかったことが社内でも可能になったことは、非常に大きかった。また、上市する前にBalance Free Rear Cushionを装着したバイクが鈴鹿8耐で優勝し、性能の優位性を証明することができた。量産品とはいえ、長丁場の耐久レースで優勝できた実績があったので、性能と耐久性には自信がある。


一目でショーワとわかるデザインを確立したかった

 今回、外観イメージの刷新を図るためデザインにもこだわってきた。Big Piston Front Fork同様に減衰力アジャスターの押し側と引き側を集約したショーワ独自のデザインを採用した。減衰力アジャスターの外観デザインをみて、一目でショーワだとわかるようにしたかった。このときから、外観のデザインも重要な要素として取り入れるようになってきた。
 今後の拡販に向けて、あらゆる要素で数々の課題をクリアしていく必要がある。現状は性能重視になっているので、ダウンサイジングや軽量化を図りながら、「性能・重量・価格」の全ての要素で満足のいくものに仕上げていかなくてはならない。これらの課題に向き合いながら、自慢の性能を武器に、拡販に取り組んでいきたい。

  一目でショーワとわかるデザインを確立したかった